韓国ドラマ「ミセンー未生ー」を観て
2014年
全20話(1話約73分)
「簡単あらすじ」
26歳のチャン・グレは父親の死後プロの棋士になる夢を諦め 母親の知人の伝手で大手総合商社のインターンとなった。
それまで正式に就職した事がなく資格も学歴もないグレに対して 同じインターンの同期達は冷たかった。
彼らはその会社を目指して必死に勉強をし漸く漕ぎつけた第一歩目だったが グレのコネ入社に対しての僻みと怒りが彼を排除したい気持ちになったのだった。
インターン終了後正社員になったのは3名。
グレは期間2年の契約社員となった。
そうしてそれぞれ所属部署での仕事が始まった。
グレは子供の頃から囲碁の世界に魅せられ実力を発揮していた。
職場でも物事の捉え方に囲碁で得た戦略方法を取り入れる。
グレは営業3課へ配属された。
そこでオ・サンシク課長とキム・ドンシク代理らと出会う。
2年の契約期間の中でグレは初めての仕事に挑むが かなり厳しい経験をする事になった。
感想
凄く面白かったです!
右も左も分からない商社の仕事に戸惑いながらも 徐々にグレならではの視点と発想力を発揮していくのですね。
ですがグレは同期以外にも上司や先輩からも突き放される扱いを受けるのです。
理由は高卒で無資格 社会での経験もない人間に対して期待はしない という事でしたね。
どうせ仕事を教えても社員にはなれないという確信があったのです。
これまで高卒の新人が正社員登用された実例は無かったのですね。
ですからグレに仕事を頼み間違いがあっても上司はそこに対する理由や指摘もしないのです。
オ・課長には過去に契約社員に対しての苦しい経験があったのです。
そしてその件で専務と確執がありグレはその専務の口利きであった事を知るのです。
グレに対して厳しく接するにも複雑な心情があったのですね。
正社員採用の決め手となるインターンのプレゼンテーションが行われる事になりました。
ふたり一組でのプレゼンですがパートナー選びに迷うインターン達ですね。
グレは数人に声を掛けられたのですが 彼らの意図を知りショックを受けます。
そして最終的に組む事になったのは繊維1課のハン・ソンニョルでした。
現場主義の彼は同期の中のムードメーカー的存在です。
全てをグレに任せっきりのハンに対して不満を持つグレでしたが いよいよプレゼンの日がやって来たのです。
会社の役員や上司達の前で研修社員のそれぞれのプレゼンが始まったのです。
グレは緊張しながらも独特の視点で語る彼の主張に関心が寄せられました。
そうして後日採用結果が出ました。
正社員は3名
インターンで唯一の女性だったアン・ヨンイ 資源2課配属に。
エリートのチャン・ベッキ 鉄鋼1課に。
グレのプレゼンパートナー ハン・ソンニョル 繊維1課配属に。
そして2年の契約社員として チャン・グレ 営業3課に。
4人はこれから厳しい総合商社の仕事に取り組むのです。
しかしここからが彼らの本当の苦難の始まりでもあるのですね。
グレは囲碁の世界に生き夢を追っていましたが 断念した過去がありました。
囲碁は相手の手を読み自分の中で戦略を決め勝利へ導く一手を打つのですがそんな彼の独断を指摘したのがオ・課長でした。
会社は組織である事を教えられたのです。
それまでいつもひとりだったグレでしたが ある日他の課の社員が犯したミスをグレのせいにされ オ・課長はグレを庇い相手の課長に俺の部下に罪をなすりつけたと怒りをぶつけたのです。
酔っていた事もあり口論になったのですが グレはオ・課長の言葉に引き付けられたのです。
「俺の部下」
今まで孤独を感じていた会社での生活でしたが 自分を庇い怒りを露わにした課長のその言葉にグレはひとりじゃない事を感じたのですね。
どこか恥ずかしい様な でもとても嬉しい「俺の部下」という言葉だったのです。
会社はチームワークだと改めて実感するのでした。
営業3課に新たに配属されて来たのがパク課長でした。
グレの学歴を蔑んだりセクハラまがいの言葉を女性社員に掛けたりと問題のある人だったのです。
パク課長が提出した案件がありました。
それはヨルダンへ中古車を輸出するというものです。
しかしオ・課長は彼の書類を見て疑問を持つのです。
協力会社が受け取る利益が大きすぎる点だったのです。
そこから読み取れるのはパク課長がリベートを受け取っているのではないかという疑惑が沸き起こったのです。
オ・課長の命令でキム代理とグレは密かに調査を始めるのですね。
そうして訪ねた先にパク課長の姿を確認したのです。
監査が入りましたがそれでもなかなか核心に触れる事が出来ずにいたのですね。
パク課長は何とか言い訳をしてその場を終わらせようとした時 グレがある事に気付いたのです。
それはヨルダンにある協力会社の社長との電話を側で聞いていた時の事です。
韓国語での会話の受け答えだったのです。
しかし書類の名前に韓国名はありませんでした。
そこでその点をグレは質問したのです。
ヨルダンの会社には韓国人がいるのですか?と。
そこからその場の空気は一変したのです。
更にグレはもうひとつ密かに調べた事を投げかけました。
書類に記された名前がパク課長の親族の名前であると確認をとっていたのです。
その指摘にパク課長は返す言葉が無くその後解雇されるのです。
しかしこの出来事は会社始まって以来の不祥事となり 関連した上司らの責任問題にまで発展したのです。
そしてこの問題を暴いた営業3課に対して社員達は冷たい反応を示すのです。
多くの退職者が出た事や身内意識なのでしょうか
「なにもそこまでしなくても」「穏便に済ませられなかったのか」等陰口が叩かれるのです。
ですが誰一人として公には声を出さないのですね。
ただ営業3課の社員に遠目で冷たい視線や無言の圧力を与えたのです。
グレ達は耐える日々を送る事になったのです。
来年度に向けた事業計画を立てる時期になりました。
各部署で毎日会議付けの日々が始まったのですね。
営業3課もパク課長の後任に新しい社員が入り4人になりました。
しかし取り組む事業内容がなかなか決まらないのです。
長時間の会議に誰もが疲労困憊の状態であった時 グレが呟くようにこう言いました。
「ヨルダン・・」と
一同は固まりましたね。
それは自分たちが暴いた不正のあのヨルダンへの中古車輸出案件の事だったのです。
あれ以来計画は保留状態であり 言わば曰く付きの件には どの課も口に出さず手を付けずにいたのでした。
グレのその言葉に3課の3人は信じられない事を言う彼の顔を見つめ無理だと答えるのです。
しかしオ・課長はグレに理由を訊ねました。
彼の返事は
「けじめをつけたい」と。
「周りから侮辱を受けたままだから」
「 会社のルールに則って収益を最大限に挙げたい」
こう答えたのです。
この計画は難しいと承知しながらもオ・課長は事業としてはいい案である事は認めていたのですね。
かなり悩み抜きオ・課長が出した答えはゴーサインでした。
周囲から反対や不安の声が多く出ましたが営業3課は計画を進めたのです。
そうして社長も出席する中プレゼンが行われたのです。
グレの言葉は新鮮さを与えましたね。
それまで会社と言う巨大組織の中でいつの間にか忘れていた会社への「思い」を呼び起こしてもくれたのです。
ですがグレの苦しみが目の前にやって来たのです。
それは正社員と契約社員との大きくて飛び越えられない壁でした。
高卒の学歴で正社員になった事例はないのです。
限りなく無理な話だったのですね。
でもグレは言いました。
「ここで働きたい」
「営業3課のみんなと一緒に 働きたい」と。
オ・課長はそれが無理な事だと知っていたのですね。
それでも課長自身もグレを正社員に出来ないかと模索するのです。
そしてひとつのヒントを得るのです。
それは自分が部長に昇進する事でした。
部長職に就けば人事にも意見を通せるのですね。
その為には急ぐ必要があり本来出世に興味がなかったオ・課長でしたが ある事業に取り掛かる決意をするのです。
ですがこれがオ・課長を退職に追い込む事になるのです。
かなり面白いドラマでしたね。
CMが入らない70分代のドラマって相当長く感じますが 内容に緊張感があって 深みがあるので惹きつけられましたね。
グレの苦悩と営業3課の人達との徐々に築かれていく信頼や 同期の仲間との友情が出来上がっていく様子があって感動しましたね。
大企業での学歴はやはり重要だったのです。
ひとりの社員の活躍で大きな成果をあげる案件もありましたが それはあくまでも多数ある成功のひとつに過ぎないのですね。
正社員雇用のルールを覆す程の理由にはならないという事が現実なのですね。
それでもグレをなんとか正社員にと願い動いてくれた人たちが大勢いたのです。
叶わない夢でしたがグレは本当に人に恵まれたのです。
このドラマは日本で放映されたのかなと思いましたが もしまだなら絶対放送してほしいなぁと思いましたね。
☆「未生(ミセン)」とは韓国の囲碁用語だそうです。
意味は碁盤の中で 死ぬ石か生きる石かがまだ判らない「石」の事だそうです。
チャン・グレそのものでしたね。
最後まで読んでいただきありがとうございました♪