韓国ドラマ「風が吹く」を観て

2019年

配信 全 23話 （１話 約 41分）

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「簡単あらすじ」

夫は製菓会社に勤め 釣りが趣味のクウォン・ドフン38歳。

妻は映画製作会社のデザイナー イ・スジン　38歳。

ふたりは同じ大学で出会い恋に落ち結婚したが　現在は倦怠期状態だった。

妻は一度流産していたが子供が欲しくて夫に気持ちを伝えるものの 夫は前向きではなかった。

どうしても子供を望む妻に対して夫はついに 自分は避妊手術を受けたと伝えた。

そこまでしても子供を欲しくないと言う夫に対しての妻の憤りは激しかった。

妻は離婚届けを夫に渡し家を出た。

夫は離婚に応じる気配はなかったが ある日「急がなくてもその内離婚してやるよ」と妻に言う。

少し含みを持たす言い方だった。

実は夫には秘密があった。

妻には絶対に隠し通したい程の重大な秘密だったのだ。

感想

夫はアルツハイマーと診断を受けていたのです。

徐々に進行していて時折症状が現れていました。

自分の年齢も間違えてしまうのです。

いつか自分は全てを忘れてしまう。

妻の事も親友の事も。

だから妻には知らせず 時が来たら 彼女の元を離れるつもりでいたのですね。

子供を欲しがらないのはきっと 彼女がひとりで苦労するだろうと考えたからなのでしょうか・・

妻はそんな夫の事情を知る由もなく とにかく子供を欲しがります。

壊れかけている夫婦の仲を修復する為にも 子供の存在が必要だと考えていたのです。

離婚を言い出しても内心は夫とやり直したかったのですね。

でもやはり避妊手術を受けて迄子供はいらない という夫に対しての 怒りは大きく 離婚は避けては通れないという気持ちもあるのです。

ただそこで問題なのは夫には離婚する気がないという事です。

妻は友人に相談してひとつのアドバイスを貰いましたね。

夫が離婚を選択せざるを得ない状況を作るというのです。

つまり浮気をさせようというのです。

そしてその浮気相手を妻が変装して演じるというのですね。

なんとも突拍子もない提案でしたが　妻は受けるのです。

特殊メイクを教わり服装も髪型も話し方も変えて夫に近づくのです。

その手助けをするのが映画製作会社の社長をしているいとこ達 でした。

夫に近づくために 飲酒した彼の代わりにと変装した妻が 運転代行をしてワザと事故を起こしその後 話し合いの為に会うように仕向けていくのです。

作戦はまだ続きます。

釣りが趣味の夫に対して 嘘の理由を言い 同行するのです。

そこで色々と話し　その中で探りを入れ「奥さんを愛しているのですか」と訊いたりします。

夫は「愛しすぎて苦しいくらいです」と答えたのです。

夫の言葉を聞いて 泣きそうな 別人に成りすました妻がいましたね。

実は夫は目の前の彼女が妻である事に気づいていたのです。

幾つかの何気ない仕草に妻であると確信した彼は 気付かない振りで彼女(妻)を抱きしめます。

そして「愛してます」と告げるのです。

でも妻の心中は複雑なのです。

まさか夫が正体に気付いているとは思いもしないので 自分でありながら自分ではない女性を　彼は愛してしまったと。

夫と彼女(妻)はついに関係を持ってしまいました。

妻はショックを受けていたのです。

夫が浮気をした事実に対して。

そして妻ではない女性に電話をしてくる夫です。

妻は２台のスマホを持って使い分けていましたが　愛人の方に夫から電話が来たので出てみると夫はこう言いました。

「今すぐ会いたい」と

彼女は飽きれるやら嫉妬を覚えるやらですが 悲しくなってくるのですね。

夫が本気になっている事を感じたのです。

でも夫は妻だと知りながらの本気の気持ちですから なんとも絡まった状態ですね。

その後ふたりは離婚する事になりました。

裁判所の前で夫は言いました。

「これからは赤の他人だから偶然会っても　声も掛けずにいよう」と

妻はせめて一言くらい思いやりのある言葉が欲しかったのかもしれませんが　夫からは一切関わらないと言う冷たいものでしたね。

「すべての思い出を忘れて　幸せになってくれ」と言いました。

「僕は全てを忘れる」と言われ　怒りとやるせない表情の妻でした。

そうしてふたりは別れたのです。

離婚後妊娠している事が分かった妻でした。

勿論夫の子供です。

別人に成りすまし関係を持った時に出来た子供ですが　ここで夫が避妊手術をしたと言っていた事はウソだったと知るのですね。

妻は夫を呼び出し妊娠の事と自分が変装して夫を騙していたことを全て話すのです。

別人への成りすましは既に見抜いていた夫でしたが 素知らぬ振りを通して強く怒りをぶつけました。

妻に対して子供を堕してくれとか　お金が欲しいのかとか暴言を吐きました。

嫌われるように　自分に何も期待しないように　自分を憎み関わらない様に　そんな思いを抱きながら心にもない言葉を妻に浴びせたのでした。

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とても切ないドラマでしたね。

最終話は涙の嵐でした。

夫は妻を一途に愛し　それ故に自分の病気を隠し通すことを決め 妻を突き放す選択をしたのですね。

子供が５歳になりこの頃にジフンとスジンは再会するのですが 親友の結婚式に出席したふたり。

ジフンの様子に疑問を抱くスジンでした。

夫の症状は進行するばかりで ヘルパーさんがいつも付き添ってくれなければ 生活に支障をきたすまでになっていたのです。

そうしてジフンの病気を知るのです。

それまでの彼の言葉や態度が 自分の為を思っての事だったと気付くのです。

激しい衝撃を受けたスジンは何日も食事を摂らず 部屋に引きこもり 遂に倒れてしまいました。

自分を責め離婚を後悔しますが やがて彼女はひとつの決断をします。

ジフンの傍にいる事を。

周りの人達は介護の大変さを心配して反対しますがスジンの覚悟は揺らぎませんでしたね。

そう遠くはない　いつの日か自分を忘れてしまう事も覚悟のうえで　それでも一緒にいたいと　愛しているんだと強く思うスジンでした。

そしてジフンの傍にいたのはスジンだけではありませんでした。

ふたりの娘アラムもいたのです。

いつも父ジフンと手を繋ぎ 友達のように絵をかいたり　遊んだりしている笑顔の娘がいたのです。

病気の進行が速く ジフンはスジンも娘の事も忘れてしまいました。

言葉も発せず表情も変わる事がなく 娘アラムに誘われるままに 一緒にいるだけになりました。

そんなある夜の事でした。

突然ジフンはスジンを見つめこう言いました。

「スジン」と妻の名前を呼んだのです。

表情も元気だった頃に戻っていたのです。話し方も全てあのいつもの夫ジフンでした。

驚いたスジンは振るえながら 訊ねます。

「私を 分かるの？」

「勿論だよ 絶対に忘れない人」

「イ・スジン」と。

そうして ジフンは ゆっくりと続けました。

「愛してる」

涙を流しながら夫を抱きしめるスジンでした。

再び「愛してる」と告げるジフン。

スジンも心から応えます。

「私も 愛してるわ」と。

ジフンを抱きしめながら どうかこのままで このままで……と願うスジンでした。

ふたりに起きた ほんの一瞬の奇跡でした。

夫は再び静かにいつもの様子に戻りました。