韓国ドラマ「仮縫い」を観て
2014年
1話の短編ドラマ(67分)
「簡単あらすじ」
(30年前の回想)
洋裁店で働くソンヒョンは10年のベテラン裁断師。
そこへ仕立ての補助として雇われたキム・ギョンヒ。
ソンヒョンは若くて美しいギョンヒに惹かれた。
ギョンヒも彼をやさしい叔父さんとして次第に親しくなっていった。
仕事を終えるとすぐに帰るギョンヒだったが その割には朝遅刻をしていた。
ソンヒョンは不思議に思い仕事帰りの彼女の後を着けた。
そこは夜間学校だった。
高校卒業の資格を取る為に通っていたのだ。
それからふたりは時折一緒に自転車に乗ったり 映画を観たりと会うようになった。
けれど 微妙にふたりの気持ちには違いがあった。
感想
ギョンヒの遠い昔の切ない記憶を辿ったドラマでした。
娘の結婚式のドレス選び その帰り道。
車の中から懐かしいお店を見つけます。
30年前一時期働いていた洋裁店でした。
彼女は思わず車を止め思い出の場所へ向かいました。
~ 30年前 ~
このお店で彼女はひとりの男性と出会います。
当時21歳だった彼女から「おじさん」と呼ばれていたソンヒョンです。
自分の事を気にかけてくれて優しく接してくれた人でした。
ソンヒョンは 彼女に分かりやすくアプローチしていたのですが ギョンヒには届かなかったようですね。
彼女は白が好きで キッチリとしたデザインが好きだと知ったソンヒョンは プレゼントしようと こっそり自分で仕立てる事にしました。
採寸は彼女が仕事疲れで そのまま眠ってしまっている時に 起こさない様にとそーっと測ったり 職場で一番下の男の子に採寸の勉強だと言って そのモデルをギョンヒに頼んで寸法を取ったりしていました。
仮縫いの為彼女に真っ白なジャケットを着てもらったソンヒョン。
予期せぬプレゼントに驚く彼女でしたが 仕上げは自分ですると言って嬉しそうに持ち帰ったギョンヒでした。
ジャケットの内側には「キム・ギョンヒ」と名前が刺繍されていました。
ソンヒョンには プレゼントしようと決めた時から デザインを考え生地を選び 型紙を作り裁断をして丁寧に縫っていく その過程がとても幸せな時間だったのでしょうね。
そして仮縫いの時 彼女が喜んでいる姿を見てどれ程満たされた気持ちだったでしょうか。
ソンヒョンを静かに慕う女性がいましたね。
洋裁店の社長の妹でした。
彼女は彼の為に食事を作ってはお店を訪れていました。
兄である社長も 妹の気持ちを知っていてなんとかソンヒョンに振り向いてもらう為と 後押しするのです。
でも ソンヒョンはギョンヒしか目に入っていませんでしたね。
そして ソンヒョンにとって辛い日が訪れるのです。
彼は自分には夢があると言って 売りに出されている店舗をギョンヒに見せました。
入り口の引き戸は埃だらけで 古さを感じさせる店でした。
でもソンヒョンは 後半年も働けばお金が貯まるから ここで自分の店を持ちたいと彼女に話すのですね。
そして誰も雇わず ふたりでこのお店をやって普通に暮らしていきたいんだと告げました。
彼なりのプロポーズでしたね。
でも ギョンヒから返ってきた言葉は「一生裁縫して暮らしていくなんて嫌です」でした。
ソンヒョンは休みも取って映画にも行って楽しく暮らそうといいますが 返事はノーでした。
彼はショックを隠せない様子です。
自分達は付き合ってまだ浅いけれど 君となら 楽しく暮らせると思うんだと 訴えました。
するとギョンヒは「付き合ってない!」と言ったのです。
返す言葉を失うソンヒョンでした。
彼は側にあった枯れた鉢植えを手に取り思い切りガラス戸にぶつけました。
背を向け歩き出していた ギョンヒでしたが 彼女の目には涙が溢れていたのです。
実は少し前に社長から店を辞めて欲しいと言われていたのですね。
それはふたりの事を知っていたからで 妹の為だったのでしょう。
もうソンヒョンとは会わないで欲しいと言われたのでした。
そしてこのお店で10年間働いてきたソンヒョンをもう楽にしてあげたいとも言われました。
社長は「お前とソンヒョンでは お互い何もしてやれないだろう」と。
それは妹と結婚すれば今の店を彼に継がせるという意味でしたね。
ですからギョンヒは彼の独立して店を持ちたいという夢を聞いて 自分とでは苦労をしてしまうと考えたのでしょうか・・
ギョンヒは 店を辞め その後 夜間学校の教師が彼女を慕い いつも側にいる様になるのですが ギョンヒの表情は浮かないままでしたね。
そしてその様子を陰から見守るソンヒョンがいました。
ノスタルジックな雰囲気を感じるドラマでしたね。
地味な印象でしたが ジンワリと染みてくる切なさがありました。
失恋したソンヒョンの悲しみを救ったのは 社長の妹でしたね。
その後 ふたりは結婚して子供がひとり居たようです。
洋裁店を持ち穏やかに暮らしてる姿がありました。
当時ギョンヒは1度だけその店の前まで行った事があったのです。
彼女はドアの前で少しの間佇み そしてゆっくりと手にしていた紙袋を置きました。
中にはあの白いジャケットが入っていました。
長い年月の流れの中で ほんの短い時間だったのかもしれませんが 切ない記憶として残っていたのかもしれませんね。
それはきっとギョンヒだけではなく ソンヒョンも同じなのではと思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました♪