韓国ドラマ「夫婦の世界」を観て
2020年 韓国 JTBC 放送
最高視聴率 28.37%
配信 全 32話(1話 約 40分)
エピソード + 2
「簡単あらすじ」
妻 チ・ソヌは家庭医学専門医で 病院の副院長をしている。
夫 イ・テオはエンターテインメント会社を設立するが 妻が資金援助している。
息子 イ・ジュニョン(中学生)一人っ子で賢く心優しい子である。
家族3人仲良く暮らしていた。
ある日 夫は 出かける妻の首に自分のマフラーを掛けてあげた。
妻のソヌはマフラーを外した時に着いていた一本の長い髪の毛を見つける。
明らかに長さも色も自分の髪の毛ではない。
そこから 夫の浮気を疑うようになりあの髪色と似ている人を見ると 疑いの目を向けてしまう。
もうひとつ夫の嘘が判明する。
夫は毎日5時に退社しているという彼の部下の話を聞いた妻。
しかし帰宅は7時を過ぎていた。
やはり浮気が頭を過ぎる妻は夫を尾行する。
ケーキと花束を抱え夫が向かった先は病院だった。
夫の母が入院しているのだが妻は目の前に起きている事に夫を疑って尾行までした自分を恥じる。
しかし病院のスタッフの話で夫が母親の元を訪れたのは久しぶりだと言った。
その直前病室で妻に会い驚いた夫だったが「毎日来ていたから帰りが遅くなった」と説明していたのだ。
夫は嘘をついていた。
ソヌは患者でもあったひとりの女性に夫の尾行を依頼した。
そうしてテオの浮気を知る事になる。
大きなショックを受けたソヌに追い打ちを掛ける様な事実も出てくる。
夫の裏切りに対して復讐を始める妻と その彼女に対して気持ちを逆なでしていく夫。
1度は妻によって全てを失くされた夫も 再婚した愛人とその親の支えもあり成功しますが 妻への憎しみが消えないのです。
ふたりの泥沼の闘いが始まって行く。
感想
肉食系の不倫復讐ドラマでしたね。
妻の恥じらいのない言葉も時折出てきました。
夫 イ・テオには2年間付き合っているピラティスのインストラクターヨ・ダギョンという女性がいました。
彼女の父親はその町では知らない人間がいない程の財力を持つ実業家でした。
夫はその面でも彼女を手放したくなかったのですね。
そのダギョンが妻の勤める病院へやって来ました。
診察をしたのは妻ソヌでした。
妻はダギョンが夫の不倫相手だと知っていましたが 彼女の方は自分の事は知られていないと思っていたようです。
妻の抑えきれない感情が時折診察の際の乱暴な扱いに現れてしまうのですが ダギョンとしては驚きながらも医者であるソヌには逆らえないのですね。
そうして妊娠が発覚するのです。
それにはダギョンも衝撃を受けた様子で産婦人科医の診察を改めて受けたのです。
妻もその事実に動揺を隠せずにいました。
夫テオとダギョンの不倫関係は妻と同じ病院で働く産婦人科の医師と向かいに住む友人も知っていました。
ふたりは妻ソヌにバレない様にと協力していたのです。
それを知った妻は夫だけではなく友人たちにも裏切られたと知り悲しみより怒りを覚えました。
特に医師の友人は「テオ(夫)は愛人とはいずれ終わるから黙っていて欲しい」と言われていた事を打ち明けソヌに謝罪しました。
愛人の妊娠が判り妻は夫の反応を見ることにするのです。
それは友人が産婦人科医でダギョンを直接診察した事を利用し 夫に電話で事実を報せて欲しいと頼んだのです。
妻はその様子を傍で見つめる為に友人に5分後に夫に電話してほしいと連絡を入れます。
友人は止めたほうがいいと言いますが妻の意思は堅いのです。
妻と夫が家で寛ぐ中電話が入ります。
妻の前で電話に出ることに躊躇している夫に対して「出れば?」と促すソヌです。
夫は電話の相手が浮気相手だと思い込んでいたのでしょうか 発信者を見て安心したように電話を受けました。
そこで相手(医師)が愛人が妊娠していると告げたのです。
妻は食い入る様に夫の表情を見ています。
動揺する夫の姿にどうしたのかと訊ねるのですが 夫は急用が出来たと言い残し慌てて家を出たのです。
その様子に妻は改めて夫への憎しみを募らせていくのです。
夫の浮気を知った妻の苦しみは終わる事を知らず やがてそれは彼らへの復讐心へと変わり 最終的に夫が一番苦しむ方法を取るべく弁護士との打ち合わせに入るのです。
そうして出た結論は夫の全てを奪う事でした。
財産も名誉も奪い夫を捨てる事。
その為には夫の浮気に気づかない振りをして着々と奈落のそこへ突き落とす準備をしていく事でした。
財産も差し押さえの準備を始めていきます。
夫は妻の様子に自分の浮気に気づいているのでは?という疑心暗鬼に襲われたりしますが確信もなく 妻のいつもと変わらない様子を受け入れるのですね。
そうして遂に妻の逆襲が始まるのです。
それは夫にも愛人にもその両親にも驚くべき形での告発でした。
その日から完全に夫婦の間に目に見える形での亀裂が入り お互いを傷つけ合い 愛人もまた代償を払わされる事になっていくのです。
激しい復讐の応酬でしたが この夫婦はお互いへの憎しみがとても強くて目の前からお互いを消してしまいたいと思っているのです。
でも それは裏返せば愛情の強さというか お互いへの執着心をかなり捨てられずにいる様でしたね。
姿を見ると抑えられない憎しみと隠れている愛が現れてきて 相手をどうにかしないと 自分自身も現在の状況も壊してしまいそうで怖いのだと思いました。
特に夫テオが元妻に対して 消えてくれ!
この街を離れて静かに暮らしてくれ!
と言った時は 元妻ソヌさえいなければ自分は穏やかに暮らせる 。
自分の心をざわつかせるソヌを もう見たくないんです。
テオの中には後悔の気持ちが大きいのですね。
だから 暴言を吐くし相手を傷つける事もしてしまうんですね。
ふたりのこの感情に気づいた人もいました。
夫婦の離婚で受ける一番の被害者は ひとり息子ジュニョンでしたね。
夫婦は自分の感情をぶつけ合って傷つけあっても 離婚届で他人になれますが 間に居る子供はそうはいきません。
彼は思春期という年齢もあったのかもしれませんが とても繊細な少年だったのでかなり苦しみます。
息子の養育権の争いもあります。 そこに父親の再婚相手も彼が迷うような言葉を囁きます。
そしてまた 彼は両親を離婚させてしまう原因は自分にあると思っていたのです。
それは 父親の不倫現場を隠し撮りしたメモリーカードを偶然手にしたジュニョン。
母親に見られないようにと隠したつもりが 後日母の手に渡ってしまったのです。
自分がちゃんと処分していれば 母は知らずに居たはずだ。
そうすれば離婚なんてしなかったんだ。
そう自分を責めていたのですね。
そして 母親は自分を守るために(養育権)辛い思いをしていると考えて
母親を避けるようにもなるのです。
自分は重荷になっているのだと考えてしまうのです。
母親にとっては息子だけが生きがいだったのですが その想いも彼にとっては重かったのかもしれませんが。
大人たちの事情で振り回され苦しむ子供のシーンが結構多かったと思いますね。
息子ジュニョンは離婚も父の再婚も どうして僕が嫌な思いをしなくちゃいけないんだと叫んだシーンがありました。
父は自分と一緒に住みたいと言うし 母は絶対に渡さないと言う。
その度に悩み苦しまされるんですよね。
まだ子供なのに 両親の喧嘩を聞かされ 父親の再婚している姿を見せられ 毎晩眠れずお酒を飲み続ける母親を見ているのです。
彼は次第に気持ちのやり場を やってはいけない方向へと持って行ってしまうのですね。
最後に会った時 父親は息子にこう言いました。
「オレみたいになるな」
全てが終わった時失うものが多かったと気づき 妻ソヌはこう思いました。
「夫婦の間では一方的な加害者はいない そして完璧な被害者もいない」
子供の事に関してはふたりとも我を忘れてしまいますが
一番印象に残ったのは やはり 息子のジュニョンのやり場の無い苦しみでしたね。
最後まで読んでいただきありがとうございました♪