韓国ドラマ「 夏の香り 」を観て
2003年
配信全18話(1話約50分)
「簡単あらすじ」
アートディレクターのユ・ミヌは3年ぶりにイタリアから帰国した。
夏のある日 山を散策している時にひとりの女性と出会った。
彼女の名前はシム・ヘウォン。フローリストであり高山植物の花の写真を撮っていた。
撮影に夢中になっている彼女の背後をスズメバチが飛び交っている事に気付ずいたミヌは静かに近寄りハチを追い払った。
彼女がお礼を言いその場は別れた。
しかし再び出会う事になる。
山の中でへウォンは道に迷ってしまい足を滑らせ斜面から転落してしまった。
助けを求め叫び続けると駆け付けたのは先程のミヌだった。
足に軽い怪我をしていたへウォンだったが一人でも下山するつもりでいた。しかし雨が降り出して来て仕方なくミヌの肩を借りて山小屋へ避難した。
次の朝下山する途中今度は天気雨が降って来た。
ふたりは一本の木の下で雨宿りをする。
その時へウォンが口にした言葉にミヌは驚きの表情を見せた。
数日後ふたりは仕事の関係で顔を合わせる事になる。
運命的とも思える出会いが続きやがてお互いの心の中に特別な意識が芽生える。
しかしそれは苦しい恋の始まりでもあった。
感想
ふたりが顔を合わせたのは山での出会いが最初でしたが 実はヘウォンは空港でミヌとすれ違っていたのです。
見知らぬ者同士の一瞬のすれ違いでしたが 直後へウォンは何故か不思議な感覚を得ていたのですね。
それが自分自身の感情ではないという説明の付かない胸の痛みを覚えたのです。
その後 山での出会いがあったのですね。
へウォンは子供の頃から心臓が悪かったのですがドナーが見つかり移植手術を受けていました。
若い男性の心臓とだけ知らされていたので 一度遺族の方に会いたいと思っていました。
けれどドナーの身元は教えられない決まりになっていたので 名前は勿論家族の住所も知ることが出来ずにいたのです。
そんな彼女の思いを知っていた婚約者のパク・チョンジェは密かに調査をし 遺族の住所を記したメモを彼女に渡しました。
でも会う事を勧めはしませんでした。
何故なら遺族にとって亡くした子供の心臓が別の人間の中で生きている事は改めて子供を失った事実を痛感させる事であり 決して喜ばしい事と受け止めるはずはないと言うのです。
それでもヘウォンは彼にこう訴えました。
「最近心臓が変なの。私の物じゃないという実感がある」
「自分の思い通りに動かないの」
「心臓が家族に会いたいのかもしれない」と。
ヘウォンは渡されたメモを頼りにドナーの遺族の元へ向かったのです。
そこで彼女は胸が熱くなる感情を覚えました。
初めて訪れた感じがしないのです。
広がる茶畑・風の音・遠くの丘 に心臓が反応するのでした。
そして驚きはそれだけでは無かったのです。
あのミヌが目の前にいたのです。
彼は知り合いを訪ねた帰りで ふと誰かに名前を呼ばれた気がして振り返ったのですね。
そこに彼女が立っていたのです。
彼は「僕を呼びましたか?」と尋ねましたがヘウォンは彼の名前もまだ知らなかったので そう伝えるとミヌは笑顔で頷きました。
ふたりは何か見えない糸によって操られているように何度も出会うのです。
ヘウォンは両親を事故で亡くしてから 婚約者のチョンジュの両親が親代わりになり彼とその妹チョンアと共に兄弟の様に暮らして来たのです。
婚約者のチョンジュはヘウォンを一途に愛していました。
指輪を渡しそれを笑顔で受け取る彼女でした。
しかし結婚の返事はもう少し待って欲しいと言います。
何れは結婚するものと思ってはいるようですが 彼のプロポーズに対して即答出来ずにいましたね。
学生の頃から近くに居て大好きで大切なチョンジュではあるけれど 彼女の中で何か物足りなさを感じていたのでしょうか・・・
ヘウォンの親友で婚約者の妹でもあるパク・チョンアにはイタリアで出会った片思いの男性がいました。
彼を追って韓国へ戻って来たのです。
その男性というのがミヌだったのです。
ミヌの方はチョンアを妹の様な感じで接していたのですが チョンアは彼との結婚まで考えている様でしたね。
ヘウォンとチョンジェ・ミヌとチョンアは仕事を通して会う事になるのですが それ以前に会っていたヘウォンとミヌは何故かふたりの前では 初めて会った様に振舞いました。
特別な間柄ではなかったのですが言えない雰囲気がありましたね。
この時点でふたりの気持ちに不思議な空気が流れていたようです。
ミヌには辛い過去がありました。
恋人を事故で亡くしていたのです。
ふたりの出会いは天気雨が降り出した夏の日でした。
大学の構内で共に雨宿りをしたのがきっかけでした。
シューベルトのセレナーデが好きな彼女でした。
恋人ウネを亡くしてから3年後友人に再会したミヌは「恋愛でもしていたのか?」と冗談ぽく訊かれこう答えました。
「恋愛はしてない。ウネみたいな娘はいないよ」と。
彼女を忘れる事が出来ないミヌでしたね。
ですがヘウォンに出会いミヌは彼女の中にウネの面影を感じる様になったのです。
似ていたのですね。
次第に彼女を愛する様になるのです。
ヘウォンもまたミヌを見ると何故なのか心臓が反応しそれがいつしか愛に変わって行くのです。
ですが 彼女には婚約者チョンジェがいるのです・・
ミヌはヘウォンの中に亡き恋人を感じていたのは確かでしたね。
ウネが好きだった物は 天気雨・セレナーデ・カラーの花。
それはヘウォンも同じでした。
ふたりには共通点があったのです。
そして初めてあった日の雨宿りの時ヘウォンは「天気雨はトラの婿入りね いいえ狐の嫁入りかな」と独り言の様に呟いたのです。
それは学生時代ミヌとウネが話していた言葉でした。
当時ミヌがトラの婿入りと言うとウネが狐の嫁入りだと譲らないのです。
ミヌが「分かった狐の嫁入りだ」と降参気味に笑顔で返していたのです。
そんなウネとの思い出と重なるヘウォンの言動でした。
何度かの偶然の出会いと恋人との共通点 そしてミヌを見ると感じる胸の痛み ヘウォンに重なる亡きウネの面影・・これらは何を意味しているのでしょうか?
やがてその答えが明らかになるのです・・。
ヘウォンのドナーだった人は男性ではなく実は若い女性であった事。
そしてその人の名前はソ・ウネである事。
ヘウォンの中で生きていた人はミヌの恋人ウネだったのですね。
事実を知ったふたりは衝撃を受けました。
そしてミヌが愛していたのは自分ではなく 自分の中にいるウネだったのだと思わずにはいられないヘウォンでした。
ミヌは「そうじゃない。僕が愛しているのはヘウォンさんだ」と訴えますが 彼女は「ウネさんとの共通点を除いたら 私のどこが好きなの!」と強く訊ねます。
ミヌは答えます「僕のこころが君を愛しているんだ」と。
ヘウォンは「心・・残酷な言葉です。 あなたは私の中に見るウネさんの心を愛している。ヘウォンとして一度も愛された事はありません」と答えました。
そうして続けました。
「あなたとウネさんの愛に何かを奪われたのは私だけじゃない。チョンジェ(婚約者)もヘウォンという人間を失いました」と。
ヘウォンはチョンジェの為にも彼の愛に応えようと自分に言い聞かせるのです。
ですが・・揺れる気持ちを収める事が難しく婚約を誓う約束式の日 ホテルの前に居るミヌを見つけてしまい ヘウォンは彼を追い掛けてしまうのですね。
ミヌは同じ日イタリアへ旅立つ予定でした。
その前に一目だけ彼女に会いたいと思いホテルまで足を運んだのです。
ですがその時・・
ふたりの間にはもうひとつ越えなければならない山が待ち受けてましたね。
四季シリーズの特徴でもあると思いますが「秋の童話」と同様に背景がとてもキレイでしたね。
夏の木々の緑が濃くて風に揺れる葉や光を受けて輝く様 空の青さと雲の白さが際立って本当に絵画の様でした。
心臓が弱かったヘウォンは学生の頃こんな事を思っていました。
” 大人になってもこの心臓が動いてくれていたら 世界で一番悲しくて美しい恋をしてみたい ”
” 大人になってもこの心臓が動いてくれていたら 愛する人と一緒に走ってみたい “
” 大人になってもこの心臓が動いてくれていたら 輝く雨が降り注ぐ日に愛する人と巡り会いたい “
最後まで読んでいただきありがとうございました♪