韓国ドラマ「両班(ヤンバン)を返せ!」を観て
2013年
配信全6話(1話 11分)
MBCドラマフェスティバル2013作品
「簡単あらすじ」
領議政(朝鮮王朝における最高官職)の一人息子 イ・ホヨンは頭はいいが遊び好きで苦労を知らないお坊ちゃまである。
ホヨンの下には奴婢(ヌヒ)(下働きをする人 下男・下女等の事)のチョンベギがいた。
ある日 ホヨンは妓生(キーサン)(お酒の相手や接待をする女性)のウォルヒャンと関係を持とうとしていた。
それを知ってチョンベギが彼女を守る為にお酒にクスリを入れ ホヨンを眠らせた。
父親の借金を払うために働くウォルヒャンを救う為に ホヨンを奴婢として売り飛ばす事にしたのだ。
チョンベギはウォルヒャンの事が好きだった。
だから ホヨンの自由にはさせたくなかったのだ。
何も知らず眠りから覚めたホヨンは自分の居場所が理解出来ずにいた。
何故か服装も変わっていたし 自分の部屋では無い。
そして周りの人間が自分をぞんざいに扱う事に我慢が出来ず 両班であると身分を主張するも信じて貰えず奴婢として労働を強いられる。
感想
両班(ヤンバン)というのは 時代劇のシーンでよく見ますが 王様に向かって左右に並んでいる人たちの事ですね。
韓服の色も赤と青に分かれている様ですが 王様が南を向いているのに対して東班(文班)西班(武班)となっているようです。
これらを合わせて両班と呼ばれていたそうですよ。
現在で言えば官僚という事になるのでしょうか・・
当時は権力が強くて上下関係が厳しく 世襲制が高かったのだと思います。
奴婢は立場が非常に弱く奴隷の様な扱いを受けていた人たちですね。
奴婢の家系は一生その立場から抜けられないと言われていた時代があった様です。
このような時代背景のドラマでした。
奴婢(ヌヒ)として売られてしまったホヨンは 未だ状況が理解できずにいるのです。
どこでも「自分は両班だ!」と必死で訴えるのですが 彼を売ったチョンベギから予め頭がおかしい奴だという触れ込みがあったので 誰も彼の言葉には耳を貸さないのです。
以前チョンベギとホヨンは友達だったのですが ある出来事をきっかけにチョンベギが彼を「若様」と呼ぶようになり 同時に憎しみを持つ様になったのです。
チョンベギの顔には大きな痣がありました。
ホヨンはそれを指して ” ホクロ ” とあだ名を付け 彼を呼ぶ時はいつも ” ホクロ ”と言ってたのです。
でもその痣を作ってしまった原因は ホヨンにあったのです。
ホヨンは奴婢の生活に触れ驚きを覚えました。
一日中休む事無く働かされ 食事も粗末な物でした。
ホヨンのこれまでの恵まれた暮らしぶりとは程遠い 目の前の光景に 同じ人間なのにという感情が芽生えるのですね。
ホヨンはひとりの男の子に出会いました。
その子の父親は殴られて耳が不自由になっていました。
そして自分の家系は両班だと言うのです。
その証拠が書かれた家宝があるけれど 誰も信じてくれないので 字を覚えて自分で読みたいんだというのです。
ホヨンはその子に字を教えていくのですね。
ホヨンの変化に驚く人がいました。
彼を奴婢として売ったチョンベギです。
ある時 ふたり共捕まり縄で縛られていたシーンで チョンベギがホヨンを奴婢として売ったのは自分だという事と ずっと抱き続けていたホヨンへの恨みを吐き出しました。
そうして「俺は友だちだと思ってない!俺の名前も覚えてないだろ!」と怒りをぶつけました。
彼の事はいつも“ホクロ“と呼んでいたからですね。
チョンベギの自分に対する本音を知り ショックを受けたホヨンでしたが 彼は反論せずそれらを受け止めます。
勿論友達の名前を忘れる事等 無かったのです。
ホヨンは自分の縄を解き チョンベギの縄も解いてあげます。
実はこの縄を解くことが出来たのも奴婢としての作業の中で覚えたものでした。
藁は爪で割いていけば細くなるんだと教わったのです。
その後ホヨンは知り合った子供が酷い目にあっていると聞き 助けるために急いで向かうのですが その様子を見たチョンベギは「奴婢を助けるのか?」と驚きました。
その為にホヨンがあんなに慌てて出向くなどそれまでの彼には考えられない事だったのですね。
コメディという程ではないのですが 堅苦しさのないドラマでしたね。
苦労知らずのおぼっちゃまが階級の一番下に位置する奴婢の生活を経験しました。
差別を受け悔しい思いも体験した事で 今まで覚えなかった感情が沸き起こったのです。
身分が低いからと謂れなき罪を着せられたり 人として扱われないという事実に対して 「悔しい気持ちと 誰にも庇われないことの寂しさを知った」と。
両班も奴婢も同じ人間だと強く感じたのです。
彼はチョンベギに言いました。
身分を問わず皆が混ざり合えばいいと。
その混ざり合うというのは 奴婢たちが全てのおかずをひとつの器の中に入れ混ぜ合わせて食べる様子を思い出し 例えたのでした。
ホヨンは 初めて見る食べ方で最初怪訝そうな顔をしていたのですが 口にすると美味しかったのでしょうね。
また “ ホクロ “としか呼ばなかった奴婢のチョンベギに対して ホヨンはちゃんと名前で呼び掛けました。
嬉しそうなチョンベギです。
通しで約60分と言うよりは 6話に分けて1話約11分の方が何故か短く感じましたね。
最後まで読んでいただきありがとうございました♪